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アンディ・ウォーホルが遺した30秒のアート作品

アートがビジネスになることをいち早く察知していた芸術家、アンディ・ウォーホル。誰もが知るマリリン・モンローやマイケル・ジャクソン、そして米国のどの家庭にもあるキャンベル・スープの缶をシルクスクリーンで刷り、量産できる芸術作品という分野を生み出した。成功後は自らもアートの対象となった。

ウォーホルは特にメディアに敏感だった。まず手をつけたのは音楽。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの誕生だ。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドには、ルー・リードなど才能豊かなミュージシャンが在籍していたが、ウォーホルのプロデュース能力と、あのバナナのアルバム・ジャケットがなければ、あれほどの名声を得ることはなかったかもしれない。

映画も数多く手がけている。そのほとんどが実験的すぎて商業的成功には程遠いものだったが、『チェルシー・ガールズ』だけは米国で大ヒットしている。

現在でも続く大判の「インタビュー」誌もアンディ・ウォーホルのアイデアによって生まれた雑誌だ。

そんな彼が何を誤ったのか、1983年に日本企業TDKのビデオテープのコマーシャルに出演している。CMは2パターンあり、一つは試験放送のようなカラーパターンが映るブラウン管テレビを掲げたモダンアート風なもの、もう一つには猫のような格好をした女性が登場する意味不明なもの。

意外なキャスティングもあり、このCMは当時相当なインパクトを与えたようで、小山田圭吾等、様々なパロディのネタにもなったようだ。

かつてウォーホルは「15分もあれば、誰でも有名になれる」と語っている。このCMはまさしくその言葉を実証するものであり、80年代以降、日本でもアンディ・ウォーホルの名はアート界の一大ブランドになった。今改めてこのCMを見ると、これはTDKのコマーシャルというよりも、マーケティングという手法を使ったアンディ・ウォーホルのアート・パフォーマンスのようにも映る。



GROOVE


I'll Be Your Mirror - The Velvet Underground & Nico (Warhol film footage)


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