ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。
今でもシングル・コレクターに愛されているこのレーベルにはたくさんのシンガーがいたが、なかでも筆頭に揚げられるのがSlim Harpo(スリム・ハーポ)だろう。ローリング・ストーンズにカバーされた“I’m a King Bee(1957年)”や、頼り無さげな声で歌う“Baby, Scratch My Back(R&Bチャート1位。1966年)”などはスワンプの名作として何度も再発もされている。その他にもLightnin’ Slim(ライトニン・スリム)、Silas Hogan(サイラス・ホーガン)、Lazy Lester(レイジー・レスター)、Lonesome Sundown(ロンサム・サンダウン)らがいる。
南部独特のブルージーさとなんともいえないゆるいサウンドのミックスの裏には、ルイジアナ生まれのプロデューサー、J.D. “Jay” Miller(JD・ジェイ・ミラー)の存在があった。ブルースを生業にしていたのに人種差別主義者だともいわれているが、レコーディングには当時の南部では異例であった白人と黒人の混成バンドを使うなど先進性もみられ、それは誰よりもブルースを愛しているからこそ生まれたアイデアだったのだろう。