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デビューする前までは公務員だったらしい。それでもミュージシャンになるために、一発奮起してフィラデルフィアで“A Cadillac Don’t Come Easy”という曲を録音、この曲が認められフィリーソウルの本拠地Sigma Sound Studio(シグマ・サウンド・スタジオ)で本格的にレコーディングする機会を得る。こうして完成した曲はタイトルが変更され“Be Thankful for What You Got”として発売される。この曲は大ヒットし、1974年の全米チャートで4位を記録した。
ウィリアム・デヴォーンのヴォーカルは至ってクールであり、シャウトなんかは全くしない。バックも同時代のフィラデルフィアサウンドとは違い、最低限のユニットで演奏されておりタイトだ。やはり、前述の2曲が抜群に素晴らしいが、他の曲も1974年に作られたとも思えないほど、完成度が高い。ウィリアム・デヴォーンの優しい歌声と、ヴィンス・モンタナのヴィブラフォンの相性もいい。
彼は、非常に信心深い人で、このアルバムに収録されている曲の歌詞もゴスペルのような内容のものが多い。ステージでは聴衆に向かって牧師のように説教することもあったようだ。せっかく成功したにも関わらず、真面目すぎる性格のためか、すぐに音楽業界から足を洗い、元の仕事に戻ってしまった(その後、1980年に復活している)。
フィリーソウルは、時代とともにSalsoul(サルソウル)に吸収されていくが、ウィリアム・デヴォーンのようなサウンドを追求していけば、新たな展開もあったかもしれない…。
Producer: John Davis
1974年