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ヴァン・マッコイのデビューは1959年と非常に長いキャリアを誇るが、アーティストというより、曲の提供やレーベルの経営に力を入れ、フィリーソウルの重要人物のひとりとして貢献してきた。この“Soul Improvisations”をリリースした頃は、ちょうどプロデューサーとしても力を発揮しだしており、Stylistics(スタイリスティックス)のアレンジにも携わっていた。
この作品でもスタイリスティックスや初期のフィリーソウルを薄めたようなサウンドが溢れている。生粋のソウルファンには耐え難いかもしれないが、これがかなり気持ちいいのだ。ソウルというよりは、イージーリスニングに近い感じで、じっくり聞いても、聞き流しても、どちらでもいける。
1曲目の“I’m In Love With You Baby”なんて、曲自体は60年代ソウルの王道のような曲だが、何とも軽い感じで気持ちいい。“Let Me Down Easy”や“Just In Case”も気の抜けたスタイリスティックスのようだが、この腰砕け感がなかなかいい。数少ないアップテンポのタイトル曲は、ノーザンソウルとディスコが合体したような曲で、へっぽこ刑事が主演するドラマのサントラにピッタリだ。
人によっては駄作だといわれそうだが、全曲レベルも高く、捨て曲もないので、激オススメ。
Producer: Van McCoy, Joe Cobb
1972年