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比較的シンプルな構成の中に、フォーク、ソウル、ジャズ、テクノ、ゴスペル、現代音楽等が複雑に絡み合う彼の音世界。よくジェイムス・ブレイクやソランジュが絶賛したことを、モーゼス・サムニーの売り文句にすることが多いが、確かにこの男女の音と重なる部分はかなり感じる。ジェイムス・ブレイクは進化する音にソウルを注ぎ込むことに集中し、ソランジュは現代を生きるアフリカ系米国人(女性)としての理想的な姿を描いているように感じるが、モーゼス・サムニーは、同様の手法を採用しながら、感じる心を持たない部外者にはフィクション小説のように感じる世界を、音楽の力で正直に表現しようとしている。
彼はインタビューで「燃えるような恋をした経験がない」と語っているが、その他大勢のような人生を送る人々にとっては、時に孤独で、恋愛感情を必要としない人生が、これほどロマンティックに感じるというのは不思議であると感じるだろう。そして、その感情を擬似体験できるということは、モーゼス・サムニーが有能な芸術家である証明だといえるだろう。
『アロマンティシズム』は現代のソウルであり、音楽というカテゴリーを超えて社会の意識の拡張に貢献する重要な作品である。
ベースでサンダーキャットが参加。
Producer: Moses Sumney, Joshua Willing Halpern, Gueorgul Linev, Cam Obi, Matt Otto, Ludwig Göransson
2017年