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ソウル&ファンク大辞典

ソウル・クラシックスの大辞典を構築中! スマホ対応なので出先でもどうぞ。

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Japan / TIN DRUM

化粧の奥に秘められた極上オーガニックグルーヴ

錻力の太鼓 Tin Drum,
Japan, 1981
ビジュアル、サウンドともに、おそらく全ては模倣から始まったと思われるジャパンだが、最後のスタジオ録音アルバム“Tin Drum(邦題:錻力の太鼓)”では究極のオリジナリティを発揮した。ジャパン・サウンドの肝となっているのは、ドラムというより太鼓という表現の方がピッタリなスティーヴ・ジャンセンのドラミングと、その間を太い糸で縫うようにプレイするミック・カーンのグネグネフレットレスベース。音楽界広しといえども、この二人に匹敵するような個性を発揮したリズム隊は数少ない。あまりいい評価を聞いたことがないが、リチャード・バルビエリのツボを得たキーボードも非常に心地いい。そしてジャパンをジャパンたらしめるのはデヴィッド・シルヴィアンのデカダンスと耽美の微妙なバランスの上に成り立つヴォーカルワークと比類なき音楽センスの良さだろう。

アルバムタイトルは作家ギュンダー・グラスの『ブリキの太鼓』の引用だと思うが、サウンドはジャケット写真のようになぜか中華風味。交流のあったイエロー・マジック・オーケストラの影響とも言われているが、不自然にならないのは、センスがいいからとしかいいようがない。類似品がないため、今聞いてもあまり古さを感じない。

このアルバムの制作前にギターのロブ・ディーンが抜けたことと、共同プロデュースにペンギン・カフェ・オーケストラでも活動していたスティーヴ・ナイを起用したことにより、ロック色が薄まり、逆に音楽的質が高まった。

いろんな偏見もありジャパンは一部の人のみに愛されていたが、ジャズやファンク目線でも十分評価に値する個性豊かなアーティスト集団だった。

Producer: Japan, Steve Nye
1981年



Visions of China - Japan
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