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バリバリのブルースを期待してこのアルバムに針を落としても、意に添えないかもしれない。ブルースというより、ソウルに溢れているのだ。1曲目のバラード“I Can’t Stop”は完全にディープなサザンソウル。2曲目の“Back in the Same Old Bag”にしてもStax Records(スタックス)的ソウルとロックンロールが合体したダンスナンバーだ。
ボビー・ブランドはある意味、不幸なアーティストかもしれない。押しも押されぬブルース界の大物ではあるが、ギターを持たないことや、カバーするフィールドが幅広いため、比較するブルースミュージシャンがいないからだ。ブルースとはそもそも、暗黒の奴隷時代に発生した黒人霊歌から聖なる部分を取り除いた「俗」を象徴する悪魔の音楽として誕生した(黒人霊歌自体が霊歌とは呼ばれるが、俗なる部分の比重が大きかった)。ブルースとは音楽のカテゴリーではなく概念なのだ。ボビー・ブランドのスタイルはブルースの原点に近いともいえる。
1950年代、南部の安酒場で聞く音楽だったブルースを、都会の音楽ファンの鑑賞に耐えうる作品に発展させたのが、BBキングであり、ボビー・ブランドなのだ。ある意味、現代ブルースのパイオニアのひとりがボビー・ブランドといえる。その後、ブルースの本流はBBキング側に流れていくが、ボビー・ブランドも50年代後半からヒット曲を立て続けにリリースしている。
多様性に溢れるボビー・ブランドの音楽は、ソウルファンでも、ブルースファンでも、ロックファンでも、みんなが十分に楽しめる。特にこの“The Soul of the Man”は、ソウルとしての質が非常に高い。
Producer: Joe Scott
1966年