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ソウル&ファンク大辞典

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Alice Clark / ALICE CLARK

70年代ソウルの歴史に埋もれた名作

Alice Clark Alice Clark,
Alice Clark, 1972
Alice Clark(アリス・クラーク)という人は謎に満ちている。こんな素晴らしい作品を残しているのに、ほとんど情報がない。1968年に2枚のシングル盤を出していることと、このアルバム以外はほとんどわからない。

リリースはジャズを中心に発表していたMainstream Records(メインストリーム)。プロデュースはその創設者であるBob Shad(ボブ・シャッド)。彼はジャニス・ジョプリンが在籍していたBig Brother & the Holding Company(ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー)のデビュー作をこのメインストリームでプロデュースしている。

収録されている曲はカバーが多く、もしかしたらこのアリス・クラークの作品はレーベルの幅を広げるための実験的な取り組みだったのかもしれない。1曲目の“I Keep It Hid”はJimmy Webb(ジミー・ウェッブ)の名作で、本人以外にもSupremes(シュプリームス)やLinda Ronstadt(リンダ・ロンシュタット)もカバーしている。しかし、どの有名アーティストのバージョンよりも、アリス・クラークの方が数段出来がいい。ボブ・シャッドのテイストなのか、ジャズやソウル、ポップスのブレンド具合が絶妙で、ソウルフルすぎないクラークの歌声と、ジャズを感じるバックの演奏、そしてErnie Wilkins(アーニー・ウィルキンス)の壮大なアレンジも素晴らしい。リズムが変わるサビの展開は、ソウル系のアーティストではなかなかないパターンだ。真偽は定かではないが、ドラムはバーナード・パーディという噂もある。

かなり多様な作曲家を使いながらも、完全にアリス・クラーク色で仕上げているのは、プロデューサー、ボブ・シャッドのセンスの良さだろう。

知名度はないが、間違いなく70年代ソウルの名作のひとつにあげてもいい作品。

Producer: Bob Shad
1972年



I Keep It Hid - Alice Clark
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