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運び屋

『グラン・トリノ』があまりにも素晴らしかったので、この手の映画なら絶対に損はしないと確信を持って、ヒューマントラストシネマ渋谷まで『運び屋』を。

感想:このジジイ、また期待を大幅に上回るすごい映画を作りやがったぜ。

老いぼれジジイの「アール」には、同世代の白人によく見られるように、現代社会では許されない非常識な部分がいくつも残されている。しかし、あるようで意外になかったのが偏見。現代社会にうまく適応できず、ひどい言葉遣いを連発するものの、常に相手の心に向き合って話すため、人種・職種・年齢を超えて、知性に囚われていない人とは、常識人以上に深くコミュケーションできる。

実話がベースになっているらしいが、何がすごいって、もうすぐ90歳になろうかってジジイが、自分の負の部分まで晒して、美談でまとめていないこと。これは『グラン・トリノ』にも込められていた点だが、それでも10年前の名作に向かってクリント・イーストウッド自ら「あの時はまだまだ未熟だったぜ」って吐露しているかのよう。『運び屋』は老人の見栄と本音が詰め込まれた最高級のジジイ版「青春映画」。晩年の黒澤明監督だって、こんなストリート感覚あふれる老人映画は作れなかった。

余計なことは何もせず、ドラマを無意味に高尚なものにもせず、古いものをそのまま使っているのにセンスに溢れる老人。『ダーティ・ハリー』や『グラン・トリノ』の断片を忍ばせ、進化するのではなく、そのまま年を重ねることで永遠不滅の作品になるなんて感動的。

映画館はガラガラだったけど、そんなことは関係ねえ。ガキどもは王子様がいっぱい出てくる映画でも見て、胸をドキドキさせていやがれ。こちとらおかげで、のんびり脚を広げて、最高の映画体験ができたぜ!

悟りなんて必要ない。誰だって何かを抱えながら死んでいく。『運び屋』は、ジジイのための哲学書のような一本。

映画に影響されてしまい、一部ひどい言葉遣いになったことをお詫びします。 m(_ _)m


監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア他
2018年


公式サイト

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