A look inside the limited-edition ‘Dapper Dan’s Harlem’ by filmmaker and photographer #AriMarcopoulos. Distributed by #IDEA, the book is a homage to @dapperdanharlem, and is available at the #GucciWooster Bookstore in New York and at the #GucciGarden in Florence. pic.twitter.com/iDQwgZHOVJ
— gucci (@gucci) 2019年1月9日
1980年代にニューヨークで突然変異し、世界のミュージック・シーンに衝撃を与えたヒップホップ。過去の音楽を再構築し、全く新しい作品として提示するその手法は、様々な分野にも影響を与えた。
ファッション界でいち早く触発され、ハーレムから旋風を起こしたのが、Dapper Dan(ダッパー・ダン)だった。彼は正確に言えば、ファッション界の人間ではない。以前はただのチンピラだ。金の匂いを感じて、アフリカ系の若者には手が出なかったグッチやルイ・ヴィトンの高級服をバラバラに解体し、全く新しい服として、入手可能なプライスで市場に出していたのだ。彼の悪趣味なほどにロゴを大きく使用したそのスタイルは、LLクールJのようなヒップホップ系アーティストからマイク・タイソンのようなアスリートまで、多くのセレブの間で大人気となった。噂が噂を呼び、オリジナルの高級ブランドには絶対不可能なファッションによるストリート発の熱狂を生み出したのだ。
注目度が高まると当然真似をされたハイブランド側は黙っていない。フェンディからは訴訟され、結局、ハーレムにあったダッパー・ダンの店は閉店に追い込まれ、彼の名はファッション業界から消えていった。
しかし、2017年に奇跡が起こる。1989年にダッパー・ダンがルイ・ヴィトンをサンプリングしたバルーン・スリーヴのデザインを、あろうことかグッチのクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレが、パクったのだ。後にこれはパクリではなく、オマージュであるということで両者は和解し、ダッパー・ダンとグッチはビジネス・パートナーとなる。グッチのサポートによりハーレムの店も再オープンすることができた。そして2018年グッチは、ダッパー・ダンにオマージュを捧げた限定コレクションを発表した。
今回、グッチが発売する豪華本のタイトルは“DAPPER DAN’S HARLEM”。撮影は著名ストリート・フォトフラファーのアリ・マルコポロス。彼の視点を通して、ハーレムの街並みやダッパー・ダンの自宅・アトリエ、そして友人たちが収められている。この本でも、再びグッチからのオマージュがダッパー・ダンに捧げられた。フィレンツェのGucci GardenとニューヨークのGucci Wooster Bookstoreのみで限定販売される。
長い時間をかけて名誉回復したダッパー・ダン。本物からのお墨付きをもらった彼のブティックのホームページには堂々と次の言葉が使われている。
DAPPER DAN "The original."