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ところが“Thunder Soul”というドキュメンタリー映画を知ってびっくりした。何と彼らは全員高校生で、学校のクラブ活動として恐ろしいほどの超絶ファンクを教わっていたというのだ。言ってみれば、矢口史靖の映画『スイングガールズ』の先生がトチ狂い、生徒全員髷を結って俚謡をやるようなものだ(男子も女子も生徒達のほとんどは本当にアフロを強調していた)。
そのトチ狂った先生というのがConrad “Prof.” Johnson(コンラッド・“先生”・ジョンソン。Conrad O. Johnson)という人物。彼はカシミア高校で音楽を教えていたのだが、その学校にあったビッグバンドを解体して、ファンクバンドに変えてしまったのだ。しかし、彼はもちろん狂ってはいなかった。ジョンソンを含め、このバンドの生徒はほとんどがアフリカ系アメリカ人であり、自らのルーツを音楽として表現した結果、このファンクバンドに行き着いたのだ。アフロにしていたのも、その表現のひとつであり、振り付け入りのステージパフォーマンスもプロ顔負けであったという。
こんな異端ともいえるクラブ活動だが、カシミア・ステージ・バンドは全米各地のコンペティションで賞を総なめにしたらしい。海外にも招待され、日本にもやってきている(来日時の写真を見ると、みんな笑顔で正装しているのに、イカツ過ぎて、どこからどう見ても高校生には見えない容姿だった)。
ちなみに、ジョンソン先生は、実は根っからのファンク好きではなかったようだ。彼はミュージシャンとしての実力も相当で、Count Basie(カウント・ベーシー)とも共演したことがあるぐらいのジャズ好きだったらしい。当時の生徒の興味も考えて独自の高速ファンクを編み出したのだろう。