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本作“Fyah”の核となるユニットは、テオン・クロスのチューバとMoses Boyd(モーゼス・ボイド)のドラム、Nubya Garcia(ヌビア・ガルシア)のテナーサックスのみ(この二人もUKジャズファンなら大注目)と超シンプル。あとは曲によってギターやパーカッション、トロンボーン等が入るだけ。
サウンドは「ハードコア・セカンドライン・ファンク」とでも呼べそうなスタイルで、スタジオよりもストリートの方が似合う。そこにロンドンならではのグライムやヒップホップ、ジャズの要素が混じる。テオン・クロスの場合、ジャズはあくまでも要素のうちの一つに過ぎないのだ。これは彼がメンバーを務めるSons Of Kemet(サンズ・オブ・ケメット)とも共通している。
最近のUKジャズを聴かない人なら「こんなものはジャズではない!」と激怒しそうだが、ジャズかどうかなんて問題ではない。シド・ヴィシャスとジャズを並列で聞くことのできる人ならこの作品を大いに楽しめるはずだ。
「ただラッパ吹いてブーンって鳴って、そしたら音楽だ」を楽しめるかどうかでこのアルバムの評価は大きく変わってくる。
Producer: Theon Cross, Moses Boyd
2019年