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この“The Rubaiyat of Dorothy Ashby”は、10世紀の中東の詩人・哲学者のウマル・ハイヤームに触発されて制作された。ところがドロシー・アシュビーは日本の琴を弾いたり、アフリカのカリンバを使ったりと、何ともオリジナリティ溢れる解釈で奇妙な世界を構築している。ある時はアラブ、ある時はラスベガス、またある時はアフリカや日本と、曲によってそのイメージは全く違う。
とはいってもアリス・コルトレーンほどスピリチュアルに偏ってはいない。ジャケット写真ではペルシア絨毯の上で琴を弾いている写真が使われていたり、全体としては少しコミカルな印象も受けるモンド・ジャズといった感じだ。“Joyful Grass And Grape”では、琴が全面的にフィーチャーされ、坂本九の「上を向いて歩こう」のようなフレーズが出てきたり、次の“Shadow Shapes”は、シンドバッドが出てきそうな雰囲気で始まるかと思えば、途中から結構渋いジャズファンクへと展開していったりと予測不能。
それにしてもクラシックやフォークだと、演者の周りに天使の姿が見えるほど優雅なイメージのハープが、どうしてジャズに使われると、突然奇妙で不思議な楽器へと変貌するのだろうか。
Producer: Richard Evans
1970年