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ケルティック・ソウルの開拓者がいるとするならば、それは間違いなくヴァン・モリソンだろう。デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズは偉大な先人の影響を隠すこともなく、このアルバムで“Jackie Wilson Said”の見事なカバーを披露している。その他の曲は全て彼らのオリジナルで、どの曲も素晴らしくソウルフルかつゴスペル感いっぱいな楽しい作品となっている。
サウンドの中心はヴォーカリストのKevin Rowland(ケヴィン・ローランド)。彼は元々ノーザンソウルに影響を受けており、特にChairmen of the Board(チェアメン・オブ・ザ・ボード)のGeneral Johnson(ジェネラル・ジョンソン)が好きだったらしい。そして相棒でもあるBig Jimmy Patterson(ビッグ・ジミー・パターソン)の力も大きい。トロンボーン奏者の彼は、全ての曲をローランドと共作しており、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの魅力であるホーンセクションはおそらく彼の影響が出ているのだろう。ケヴィン・ローランドのワンマンバンドだったため、メンバーチェンジの激しいグループだったが、パターソンだけはいつも一緒だった。ちなみにA1のタイトル「ザ・ケルティック・ブラザーズ」とは、アイルランド系のローランドとスコットランド系のパターソンのことを指しているらしい。
デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズは「カモン・アイリーン」だけの一発屋バンドとして知られているが、少なくともこんないい曲を9つも残しているので、一発屋という呼称は彼らに失礼だ。
まるで青春ドラマを見ているような感覚になるアルバム。
Producer: Kevin Rowland, Clive Langer, Alan Winstanley
1982年