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このアルバムは1980年、ドイツ・ベルリンでのライヴを収めたデビュー作。テッド・ミルトンのバックは、ドラムとギターの超シンプル編成。そして時代はパンク真っ盛り。結成時には軽く30歳を超えていたであろうテッド・ミルトンだが、気持ちは完全にパンクロッカー。しかし、手にする楽器はサックス、そして歌詞にも同時代のパンクスより数十倍も気を使った。パンク+ジャズ+ポエトリーリーディングを一つにまとめたものがブラートのパフォーマンスであり、聴く音楽というよりは体験するための複合芸術だ。(ライヴでは人形劇が入ることもあるらしい。)
しかも、サウンドは編成通りの超シンプルなパンク・ジャズ。ジェームス・チャンス&ザ・コントーションズと比較されることもあるが、あちらは黒さにこだわったファンクを売りにしているが、ブラートに「黒さ」はほとんど感じない。テッド・ミルトンはおそらく、詩の表現手段を模索しているときに、パンクと出会い、その表現方法としてビートを活用したのだろう。パンクに衝撃を受けたのなら、普通ギターを持ちそうなものだが、詩人とジャズの親和性を考えると、サックスを持つのも自然に思える。
ブラートは、この作品以降10枚以上のアルバムをリリースしているが、ほぼ同じ姿勢を貫き続け、成熟することは全くなかった。ある意味、パンクス以上にパンクな親父である。
1981年