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サウンドは大きく分けて二つの印象を受ける。一つはプロデューサーでもあるLITTLE CREATURES(リトル・クリーチャーズ)の青柳拓次が作曲を手掛けた、70年代ジャズファンク的なファンキーな世界。このファンクが只者ではなく、「縄文式ジャズファンク」と呼びたくなるような独自のグルーヴが心を打つ。日本的でもありアフリカ的でもあるサウンドは完全に国境と時代を越えている。“AUWA”でのUAのヴォーカルは、まるで縄文土器が振動して音を発しているかのよう。
もう一つはイギリス人のRachael Dadd(レイチェル・ダッド)の作曲群。こちらは縄文土器を花器に見たてて野に咲く草花を活けたような美しい世界。ヨーロッパの花畑のようでもあるが、曲という「いけばな」を通して見る世界なので、日本の原風景のようにも感じる。
青柳拓次やレイチェル・ダッド等を吸収したUAの世界観上空10センチを高木正勝のピアノが蝶のようにひらひらと舞い、足元を彩愛玲のハープがバッタのように飛び跳ねる。特に心の赴くままにメロディを奏でるような高木正勝のピアノが心地いい。
無駄な部分がほとんどなく、バンド・メンバー全員の存在を感じられる。これほど生の感触を味わえる作品も最近では珍しい。2016年に発表された日本人アーティストの作品としては一番感動した。
時空を自由に行き来するUAのこの作品に、きっと朝本浩文も満足しているだろう。
Producer: 青柳拓次, UA
2016年