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タイトルを思いっきり意訳すると『別世界へのお手軽どこでもドア』といった感じだろうか。アヴァンギャルドなジャズに生きるヘンリー・スレッギルが、音楽という「どこでもドア」を使って時間と距離を超えて旅をする。
ブルージーな“I Can’t Wait Till I Get Home”に始まり、“Black Hands Bejewelled”はカリプソ、“Spotted Dick Is Pudding”はニュー・オーリンズ・ジャズ、“Let Me Look Down Your Throat Or Say Ah”は架空の映画音楽、女性ヴォーカルが入った“My Rock”は1950年代風ジャズといった具合に、ヘンリー・スレッギルがナビゲーターになってブラック・ミュージックの歴史を辿るかのようだ。
ジャズとは元々定型はなく、あらゆる要素を取り入れるアヴァンギャルドな精神で展開してきた。ジャズ特有の多様なコードも不協和音開拓の歴史ともいえる。ジャズを聞けば過去の遺産の延長上にあることを実感できる。ヘンリー・スレッギルの本作は、想像力を刺激されながら知的冒険もでき、さらにとても楽しくもある作品。
ちなみに2023年には、このアルバムと同名の自伝“Easily Slip into Another World: A Life in Music”が出版され、ニューヨーク・タイムズの年間最優秀書籍に選ばれている。
Producer: Steve Backer, Ed Michel, Diedre Murray
1988年