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ソウル&ファンク大辞典

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Henry Threadgill / EASILY SLIP INTO ANOTHER WORLD

ブラック・ミュージックの歴史を旅する楽しいアヴァンギャルド・ジャズ

ヘンリー・スレッギル Easily Slip Into
Another World,
Henry Threadgill,
1988
1975年にAir(エアー)のメンバーとして、なんと意外にも日本の“WHYNOT”からデビューして以来、数多くのアルバムをリリースしてきたヘンリー・スレッギル。2016年には“In for Penny, In for a Pound”でピューリッツァー賞の音楽部門を受賞。2018年にケンドリック・ラマーが同賞を獲得したときは、かなり話題になったが、ヘンリー・スレッギルのときはほとんど話題にもならなく、彼の名前はイマイチ一般的な知名度に欠ける。この“Easily Slip Into Another World”は、そんな知名度はなくても実力十分で全く衰えの知らない作曲家兼サックス奏者が最も脂の乗っていた1980年代後期の作品。

タイトルを思いっきり意訳すると『別世界へのお手軽どこでもドア』といった感じだろうか。アヴァンギャルドなジャズに生きるヘンリー・スレッギルが、音楽という「どこでもドア」を使って時間と距離を超えて旅をする。

ブルージーな“I Can’t Wait Till I Get Home”に始まり、“Black Hands Bejewelled”はカリプソ、“Spotted Dick Is Pudding”はニュー・オーリンズ・ジャズ、“Let Me Look Down Your Throat Or Say Ah”は架空の映画音楽、女性ヴォーカルが入った“My Rock”は1950年代風ジャズといった具合に、ヘンリー・スレッギルがナビゲーターになってブラック・ミュージックの歴史を辿るかのようだ。

ジャズとは元々定型はなく、あらゆる要素を取り入れるアヴァンギャルドな精神で展開してきた。ジャズ特有の多様なコードも不協和音開拓の歴史ともいえる。ジャズを聞けば過去の遺産の延長上にあることを実感できる。ヘンリー・スレッギルの本作は、想像力を刺激されながら知的冒険もでき、さらにとても楽しくもある作品。

ちなみに2023年には、このアルバムと同名の自伝“Easily Slip into Another World: A Life in Music”が出版され、ニューヨーク・タイムズの年間最優秀書籍に選ばれている。

Producer: Steve Backer, Ed Michel, Diedre Murray
1988年



I Can't Wait Till I Get Home - Henry Threadgill
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