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一番のオススメは、1967年のソロデビューシングル“Mississippi Delta”。彼女の全キャリアのなかで最高傑作だと思う。しかし、ハードなギターリフで始まるこの曲は発表時、完全に無視され、ラジオ局のDJ達はB面の“Ode to Billie Joe”ばかりかけた。結果ビルボード1位の大ヒットとなり、グラミー賞まで獲得したので、彼女の代表作はいつも“Ode to Billie Joe”タイプの曲調のものばかりになってしまった(これはこれでまた味があるが…)。
生まれがミシシッピ州であることを全面に押し出していたボビー・ジェントリー。“Mississippi Delta”の出だし部分でもいきなりダミ声で“M I double S I double S I double P I”と歌いだし、最初何を言っているのかと疑問に思ったが、単に韻を踏んで“MISSISSIPPI”といっているだけだった。しかし、彼女は単なる南部のフォークやカントリーブルースのミュージシャンというわけでない。何種類もの楽器を演奏し、大学では哲学を専攻した、知的なシンガーソングライターのはしりのひとりでもある。だからデルタブルースのようなテーマの曲でも、実はかなりひねくれたエッセンスを詰め込んでいる。
“Mississippi Delta”をソロデビュー作のA面(LPでも1曲目)に持ってきたということは、本人にもかなりの思い入れがあったのだろうし、もしこの曲が評価されていたら、後の作品もこのテイストのものがもっと増えていただろう。そうすれば、きっとボビー・ジェントリーは日本でも人気のアーティストになっていたに違いない。
Producer: Kelly Gordon
1967年